就業規則

October 14, 2005

減給の制裁はどこまで許されるか?

【労基法第91条】
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

●1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない

「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」とは、1回の事案に対しては減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならないという意味です。

ですから、1日に2回の減給対象事案があれば、それぞれの事案について平均賃金の1日分の半額ずつを減給することが許されます。

●総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

減給の「総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とは、一賃金支払期に発生したいくつかの事案に対する減給の総額が、その賃金支払期における賃金総額の10分の1以内でなければならないという意味です。

したがって、この範囲を超えて減給する必要がある場合には、その超える部分は次期以降の賃金支払期に延ばさなければなりません。

また、ここでいう「賃金の総額」とは、その賃金支払期に実際に支払われる賃金の総額をいいますので、「賃金の総額」が欠勤などにより少額となった場合には、その少額となった額の10分の1が限度となります。

賞与から減給する場合も、減給の総額は賞与の総額の10分の1を超えてはなりません。

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September 16, 2005

就業規則はヒアリングから

経営者の考え、つまり経営方針を聞くことからスタートします。方針を聞いておけば、従業員へのヒアリングもスムーズに行きます。

ヒアリングとは「聞く」ことですから、とにかく一通り聞くという姿勢が重要なのは言うまでもありません。経営者からも従業員からも本音を十分に引き出すことによって、良好な労使関係の維持発展に有益で、円滑な企業運営にも寄与する就業規則が完成します。

経営者からのヒアリングで得た経営方針や企業理念などは、就業規則の前文で謳っておくと良いでしょう。会社が従業員の労働条件に関する基本政策や考え方を明文化しておけば、士気を高めることにもなります。

経営者からのヒアリングが済んだら、いよいよ本題である従業員からのヒアリングのための調査シートの作成です。

普段はなかなか言いにくいこともありますし、誤った理解をしているところもあると思います。実情を十分に理解し、望ましい方向に持っていくためにもヒアリング調査シートの作成に精力を傾けましょう。ヒアリング調査シートが上手に作れれば、目的の半分は達せられたことになります。

<ヒアリング対象は誰か?>

 ●人事・労務担当者
 ●各セクションのマネジャーやリーダー
 ●一般職の男女

  気軽に意見を述べることのできる者がベターです。

<調査シート作成の留意点>

●何を聞いたら良いか?

絶対的必要記載事項(労基法89条)については漏らさず聞く。
就業規則に対する理解度や認識を確かめながら聞く。
わかりにくいところや疑問に感じているところ、会社に対する要望などを聞く。

●どのように聞いたらよいか?

複数の人に同じ事を聞いていると告げ、安心感を与える。
絶対的必要記載事項については、現状をあるがままに述べてもらう。
「わかりにくい」という答えの場合は、内容自体が難しいのか、条文が理解しづらいのか、両方なのか、よく確かめることが必要。
「疑問がある」という答えの場合は、何故そう思うか?どのようにするのが良いと思うか?どのようにしてもらいたいか?という要領で進める。

<就業規則作成について配慮すべき点>

 ●必要記載事項が漏れなく記載されているか
 ●正しく記述されているか
 ●明瞭か、統一が取れているか
 ●わかりやすく書かれているか

◆今日のまとめ◆

就業規則の作成・改定の意図が従業員に正確に伝わり、よく理解されるためには、わかりやすく書かれていることが重要なポイントです。

就業規則の役割は、「就業について構成員が共有するルール」であり、このことはすべてに最優先することですから、日常的に読まれない、利用しにくいというものでは意味がありません。

ヒアリングを通じて、就業規則に何が求められ、どういう使われ方が望ましいのかを十分に把握して、より良いものを作るようにしましょう。

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September 15, 2005

就業規則作成のメリットって?

【メリット】

1.使用者にとって
   
 ・職場秩序を確立し、組織的な企業運営ができる。
 ・多数の従業員の労働条件を統一的に処理できる。
 ・労働条件に関する労使間のトラブルを防ぎ、
  円滑な業務運営ができる。

2.従業員にとって

 ・労働条件がはっきりし、安心して働くことができる。
 ・守るべきルールが明確になる。
 ・使用者の勝手な懲戒処分等を受ける心配がなくなる。

  などをあげることができます。

【形式だけの従業員意見書】

労基法に違反していない限り、たとえ従業員代表が反対したとしても就業規則としての効力には影響しません。

◎こんな「形式だけの就業規則」で満足できますか?

使用者は満足できても、従業員は決して満足しませんし、トラブルの元にもなりかねません。

従業員の本音を十分に引き出してこそ、良好な労使関係を維持でき、円滑な企業運営にも寄与することになります。

【就業規則作成の流れ(概略)】

1.使用者(経営者)からのヒアリング

 会社としては、どのように考えているのか。
 最初に方針を決める事が大事です。
 まずは会社の意向ありきです。

2.ヒアリングシートの作成

 従業員の認識、要望を把握するための作業です。
 ヒアリングシートの良し悪しで決まりますから
 十分に検討しましょう。

3.従業員からのヒアリング

 従業員の中には、一般従業員の他に、人事・労務担当者
 や女性従業員も含めてください。

4.ヒアリング結果のまとめ

 ヒアリングをまとめ、就業規則の原案を作成します。

5.就業規則作成

 従業員代表の意見書  従業員へ周知

6.労働基準監督署へ提出

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September 14, 2005

就業規則は事業所の実態を踏まえて!

就業規則は、会社の憲法のようなものですから、事業所の実態や労務管理の方針に応じて決められるべきものです。

しかし、他の会社の就業規則をそのまま借用したり、市販のモデル就業規則を丸写しにしたものが案外多いのも実情のようです。(助成金申請のためにとりあえず作成した場合などは、実態を踏まえた内容となっていないことが多いです。)

そのような就業規則は、体裁は整っていても職場の実態とは、かけ離れたものとなりがちで、その結果労働者も使用者もこれを尊重しないこととなり、就業規則としての機能が果たせず、かえってトラブルの元ともなりかねないのです。

就業規則の作成に当たっては、現在職場で実施している労働時間・賃金制度等の労働条件あるいは規律に関する制度や慣行を整理し、それをもとにしながら実際に改善したい点も含めて、内容を検討することが重要です。これがヒアリング調査といわれるものです。

また、労働条件等は時とともに変わっていくのが普通ですから、就業規則を作成したあとも、見直しを行い、常に実態に合ったものとしていく必要があります。

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September 13, 2005

就業規則はなぜ必要なのか?

今までも、就業規則に関連した記事を何度か書いてきましたが、今日からまとまったものを続けて書こうと思います。

まず最初は、就業規則はなぜ必要なのか?という疑問から答えましょう。

企業経営のために多くの従業員を使用することが必要な場合、始業・終業の時刻、休憩、休日などの労働時間に関すること、賃金に関することなど従業員が就業上守るべきことについて一律に定めておかなければ、一人一人の従業員ごとに決めなければならず、非常に煩雑な手続きが必要になります。

単に手続きが煩雑なだけでなく、これでは企業としての組織自体がうまく機能しないでしょう。

このため、企業秩序を維持し、合理的、能率的な企業運営を行うという経営上の必要性から、労働条件や服務規律などを統一的に定めておくことが重要となるのです。

従業員にとっても、労働条件や服務規律などを承知した上で働ける職場であれば、安心して働けることは言うまでもありません。

そこで、企業としては、就業上守るすべき規律や労働条件に関する基準を定めて明文化したものが必要となります。これが「就業規則」です。

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