個人情報保護

November 09, 2005

個人情報保護法「過剰反応」目立つ

国民生活センターは7日、個人情報保護法が施行された今年4月から9月末までに同センターや全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数が3200件を超えたと発表しました。

医療機関などの「過剰反応」で困難な立場に置かれたという苦情や、「しつこい勧誘を同法で止められないのか」などと法律に期待を抱きすぎている相談が目立つといいます。

【相談例】
ある60歳代の男性は駅のエスカレーターで転倒した人の巻き添えになり、入院。転倒の原因となった人と入院費用の負担などについて話し合いたいと思い、鉄道会社に連絡先を尋ねたが「個人情報保護のため」と連絡先を教えてもらえなかった。

ある女性は入院中の父親への病名告知を望んでいないのに、病院側は「検査結果について他の医療機関に見解を求めるため、同法にそって本人の同意がいる。告知が必要」と主張している。

【まとめと課題】
「過剰反応」に際し明確な解釈基準や、提供の必要性等についての理解が求められます。

これまで社会に定着してきた名簿や連絡網等、あるいは緊急医療等における個人情報の提供が形式的な法律の解釈や運用の下で存在できなくなったり、不可能になることは、個人情報保護法の本来の趣旨にそったものとは言えない。

法律違反となるリスクを負うよりも個人情報の提供を一切行なわないという対応や、十分な検討や工夫を講じないまま個人情報保護法を理由に従来の活動を止めてしまうという対応が一般化している傾向がある。

法律やガイドラインを形式的に遵守しているからよいと個人情報の保護に対し機械的に対応するのではなく、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」との法の目的を達成するためには、事業者自らによる積極的な取組みが一層求められます。

http://www.kokusen.go.jp/cgi-bin/byteserver.pl/pdf/n-20051107_2.pdf

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June 09, 2005

健康診断結果の取扱いと個人情報保護法

【疑問】
平成17年4月1日に個人情報保護法が施行されましたが、健康診断結果の取扱いは個人情報保護法に抵触しないのでしょうか?

【結論】
労働組合等と事前に協議した上で、健康情報に係わる管理規定を策定し、その中で健康診断の利用目的、取り扱う者及びその権限を明確にし、労働者に管理規定を周知し、利用目的以外に使用しなければ抵触しないと思われます。

ただし、健康診断結果の生データを利用するのではなく、利用目的の達成に必要な範囲に健康診断結果を適切に加工した上で提供することが必要です。また、加工した健康診断結果をどの職制までに提供するかは、労使が十分に協議する必要があります。

【参考資料】

●「雇用管理に関する個人情報のうち健康診断を取り扱うに当たっての留意事項について」(基発第1029009号)の概要

【定義】
健康情報とは、指針で定める雇用管理に関する個人情報のうち、健康診断の結果、病歴、その他の健康に関するものと定義されます。


【健康情報に係わる適正な取扱いを確保するために事業者が講ずるべき措置の概要】

1.健康情報の利用目的を特定し、労働者に通知し、又は公開する。

2.あらかじめ労働者の同意を得ないで健康情報の利用目的以外に取り扱ってはいけない。

3.労働組合等と協議の上、健康情報に係わる下記事項の管理規定を定め、労働者に周知する。
①健康情報の利用目的
②健康情報に係わる安全衛生管理体制
③健康情報を取り扱う人及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲にかんすること
④健康情報の開示、訂正、追加又は消去の方法(廃棄に関するものを含む)
⑤健康情報の取扱いに関する苦情処理に関すること

4.健康診断の結果のうち診断名、検査数値等のいわゆる生データの取扱いについては、その利用に当たって医学的知識に基づく加工・判断等を要することがあることから、産業医や健康師などの看護職員に行わせること望ましい。

5.産業保険業務従事者以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な範囲に限定されるよう、必要に応じて健康情報を適切に加工した上で提供する等の措置を講ずる。

6.健康情報に係わる苦情処理について、苦情及び相談を受け付けるための窓口を設け、必要に応じて産業保険業務従事者と連携を図ることができる体制を整備しておくことが望ましい。

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