採用

September 27, 2005

外国人研修・技能実習制度

開発途上国等には、自国の経済発展と産業振興の担い手となる人材を育成する観点から、特に青壮年の働き手に先進国の進んだ技術・技能や知識を修得させようとするニーズがあります。このようなニーズに的確に応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間日本の産業界に受け入れて産業上の技術・技能・知識を修得してもらう仕組みが、「外国人研修・技能実習制度」です。

【制度の基本的な枠組み】

1.開発途上国の人材育成協力

a. 単純労働力として受け入れるものではなく、国際的な人材育成
として実施すること
b. 講義主体の研修方式に加えて、OJTの採用により実践的な技
能移転を可能とすること
c. 技能移転を確実に行なうため、修得技能の目標と修得方法等に
関する研修計画や技能実習計画を作成・履行させるとともに、
技能実習移行等に際し、技能修得状況のチェックを行なう公正
な技能評価制度を設けること
d. 研修生・技能実習生は、帰国後修得技能を発揮すること 

2.秩序だった受入れ

a. より多くの国の多数の青壮年に職業能力開発の機会を提供
すること
b. 受入れ機関の受入れ人員枠を設定すること
c. 在留期間は、研修・技能実習を合わせて最大3年とすること

3.研修生・技能実習生の保護

a. 受入れ機関は、研修生に対して、研修手当(生活実費)、安全
衛生、保険、生活指導、宿舎等について入管法令等に基づき
適切な措置を行うこと
b. 受入れ機関は、技能実習生に対し、労働者としての位置付け
の下に、賃金、労働時間、安全衛生、労災補償等について
労働法令、労働・社会保険法令上の権利を保障すること

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September 12, 2005

身元保証人の責任範囲

社員を雇い入れるときに、身元保証人を要求することがあります。

【保証をとる目的】

例えば、社員が売上金を着服するなど会社に損害を与えたときに、その賠償責任を問い、損害を確実に支払わせるため。

またその人物の身元を確認する目的もあります。身元保証書を提出することにより、使用者と身元保証人の間に身元保証契約が成立することになります。

【契約期間】

・期間の定めのない身元保証契約は、成立の日から3年間有効。
・有効期間を定めた場合でも、5年以上の期間を定めることは出来ない。
・更新する場合でも、更新したときから5年を超えてはならない。

【保証人への通知義務】

・業務内容の変更や身元保証人に責任が及ぶ恐れがある場合など保証契約内容に変更があったときは、保証人に通知すること。
・通知を受けた場合、またはその事態を知った場合に保証人は、それ以後の契約を解除することが出来る。

判例では、この通知を怠っていたため損害賠償を請求できなかったケースもあります。

これらのことを考え合わせますと、金銭的問題が起こり得る業務に従事する社員に対しての身元保証について、見直しが必要な場合もあります。

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August 26, 2005

パートタイマー契約の注意点

有期契約社員の労働契約が期間満了し、使用者が契約の更新をしないことを「雇止め」といいますが、トラブルになることがしばしばあります。

そこで、トラブル回避のため、契約内容をもう一度確認してみましょう。

【確認する点】
① 前回契約時に次回更新予定の有無の明示があったか。
② 次回更新に関して雇用継続を期待させるような言動が行なわれたか。
③ 更新回数及び継続勤務期間は。

①については、前回の契約更新時に今回の契約が最後であり、次回更新はない旨明記された契約を行っていれば、当然期間満了の契約終了となります。又、契約更新は業務量の増減により行なわないことがある旨の記載があれば雇止めは認められると考えられます。

②及び③については、上記①についての対応がなされず、雇用継続を期待させる使用者の言動がある場合、又契約更新回数が多く更新手続きが形式的である場合は、雇止めが無効となる可能性が高くなります。
                                    
又、契約期間経過後も雇用が継続しており、契約終了期日後に契約更新手続きを行なうことが度々ある場合や、再契約自体が行なわれないまま黙示の更新が認められる場合は、期間の定めのない契約の場合の解雇と同様に類推適用がなされ、期間満了の契約終了を主張するのは難しくなります。

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August 08, 2005

退職理由の照会にはどう対処すべきか?

退職した従業員の再就職先から、退職理由についての照会があった場合、どう対処すればよいか?

退職理由の照会をしたり、これに応じたりすること自体に、法律上の規制はありませんが、身元がよくわからない第三者に退職理由を知らせることは、退職者のプライバシーの侵害になる畏れがありますので、注意が必要でしょう。

本人を介さない会社間における退職理由の照会は、なるべく避け、原則として面接や応募書類によって、本人から申告してもらうようにすべきでしょう。

しかし、特別な事情で前勤務先に問い合わせる必要がある場合には、本人から前勤務先に退職時証明書の交付を依頼し、その証明書の提出を求めるのがよいでしょう。

退職時証明書とは、労働基準法第22条に規定されている法定の証明書で、労働者が退職の場合において、

(1)使用期間
(2)業務の種類
(3)その事業における地位
(4)賃金又は
(5)退職の事由(退職の事由が解雇の場合は、その理由を含む)

について使用者(前勤務先)に請求できる証明書です。

使用者は請求があった場合には、遅滞なくこれを交付しなければなりません。退職時証明書には労働者の請求しない事項は記入してはならないことになっています。

逆に使用者は上記(1)~(5)以外の事項に関し、証明を請求されてもこれに応じる義務はありません。

また、使用者は、予め第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時証明書に秘密の記号を記入してはなりませんので、注意してください。

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July 27, 2005

シルバー人材センター

シルバー人材センターは、高齢者が組織的に働くことを通じて、追加的収入を得るとともに、健康を保持し、生きがいを持ち、地域社会に貢献するという「自主・自立、共働・共助」の理念を基本としています。

地域社会との相互交流・連携を目指す公共性・公益性の高い社団法人(公益法人)です。

【センターの会員になるには】

1.原則60歳以上の健康で働く意欲のある方
2.センターの趣旨に賛同した方
3.入会説明を受け、入会申し込みを提出した方
4.会費を納入した方

【働き方】

・法律上、依頼者と雇用関係を発生させてはならない。
・臨時的かつ短期的に就業することになっているので、交替で働く。
・発注者からの仕事の説明は受けるが、指揮命令は受けない。
・契約事項にない仕事は原則としてしない。

【安全配慮】

労働者ではないので、労働基準法、労災保険法、雇用保険法は適用されない。
万一、事故が発生した場合は、シルバー人材センター団体傷害保険で対応する。

【支払い】

働いた仕事量に応じてシルバー人材センターの「配分金」が支払われる。
「配分金」は雑所得となるため確定申告が必要。

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July 26, 2005

一般派遣・特定派遣・紹介予定派遣の違いは?

派遣には3つの働き方があります。

普通、みなさんが考えている派遣というのが「一般派遣」
派遣されることを前提として常用雇用されるものが「特定派遣」
派遣先の企業への雇用を予定して派遣されるものが「紹介予定派遣」

【一般派遣】

一般的に派遣というと、登録型派遣のことをいいます。
まず派遣会社に登録し、その後仕事の紹介をしてもらいます。仕事は期間を定め、その期間中のみ雇用関係が生じます。また、登録すれば必ず仕事の紹介があるとは限りません。

【特定派遣】

登録型と違って、常用社員を派遣する場合を特定派遣といいます。
仕事がないときでも雇用関係が持続し、給料も支払われるため安定しているというメリットがあります。

【紹介予定派遣】

紹介予定派遣は、数ヶ月間派遣社員として派遣先で働いた後、その派遣先に採用される就職型派遣です。

派遣期間中に、派遣社員と派遣先が正社員として働くかどうかを見極め、派遣期間終了後にその決定を行ないます。その際、派遣社員の側からも派遣先企業の側からも断ることができます。

○新卒者紹介予定派遣

一般に、新卒者(大卒)の約3割が3年以内に退職していくと言われています。雇用のミスマッチが生む採用経費や時間の無駄遣いを防ぐために導入する企業が増えています。これは、派遣期間を設け、企業・新卒者双方にベストマッチしているかを見極めた上で、正社員として本採用できるシステムです。

従来の「就職を決めてから働く」というスタイルではなく、「働いてから就職を決める」という方法により、ミスマッチのない就職を実現します。

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July 22, 2005

「採用予定者」と「採用決定者」

採用内定者には、「採用予定者」と「採用決定者」があります。

採用予定者とは、単に「採用の予定である」ということのみ本人に通知している場合で正式な採用決定手続き前の者にあたるため、採用義務を負う地位にはありません。 採用を取消せばいいだけです。

採用予定者の取消については、労働契約が成立していない以上、労働法上の解雇にはあたりません。しかし、場合によっては、民法上の不法行為としての損害賠償責任を負う可能性はあります。

一方、採用決定者の場合(必要書類の提出、入社日の通知等「採用確定の意思の表示」と認められる行為があった場合)は、それによって労働契約の成立があったものとみなされます。入社誓約書、入社承諾書の提出を求めているような場合は、採用決定者に該当すると思われます。

採用決定者の取消については「労働契約の解約」となるため、原則「解雇」に該当し、労働法上の問題となります。

一度も出社しない、連絡も取れない、内容証明郵便も出している等、会社としてできる限りの対策を講じることによって、就業規則の解雇事由に該当すれば「解雇」が成立すると思われます。

解雇の理由としては、「就業規則第○○条第○項により解雇とします。」となるでしょう。

(例)正当な理由なくして欠勤引続き10日以上または無届欠勤引続き5日以上に及んだ者は解雇とする。

採用の取消、解雇についての詳細は、最寄の労働基準監督署へご相談されることをオススメします。

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July 19, 2005

第二新卒は新卒より「使える」!?

新卒採用を行う企業の半数は第二新卒も採用しているといいます。つまり第二新卒採用はもはや「当たり前」の状況なのです。しかも、採用された第二新卒者に対しては、「新卒者より優れている」との評価も少なくないといいます。

こうした転職の中には、「リターンマッチ転職」と呼ばれるパターンもあります。

学生時代の就職活動で内定を勝ち取れなかった会社に、現在の自分の意欲や経験をアピールして第二新卒で転職を実現する、ということ。そんなリターンマッチを狙う人に勇気を与えるような調査結果が発表されました。

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が発表した「第二新卒者の採用実態調査」の結果によれば、第二新卒者を採用した企業のうち半数以上が「(新卒者より優れているか劣っているかは)どちらともいえない」とし、2~4割の企業が「第二新卒者は新卒者より優れている」としています。特に評価が高いのは「職業観、勤労意欲」「基本的な生活態度、言葉遣い、マナー」などです。

●「社会人経験2年」「25歳」がメド

第二新卒者を採用するときの条件では、中途入社枠で採用する企業の場合、最終学歴卒業後の年数が「2年」だと8割、「3年」だと5割の企業が受け付けるとしています。

一方年齢では「25歳」だと9割以上の企業が、「26歳」だと6割の企業が応募を受け付けるとしており、社会人経験2年、年齢25歳くらいまでが企業から見た「第二新卒」のイメージのようです。

●第二新卒として勝利するには、何が必要?

先ほどの「第二新卒者が新卒者より優れている」とする割合の高い項目から考えると、「仕事についての考え方がしっかりしている」「社会人として当たり前の行動がきちんとできる」ことがポイント。

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July 07, 2005

社員採用時に必要な手続きは?

まず、法定帳簿としては、労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳の3帳簿の作成があります。これら労働に関する書類は、労働基準法で作成が義務付けられ、さらに3年間保存しなければならないこととされています。

次に健康保険と厚生年金の加入手続きは採用日から5日以内に、又、雇用保険の加入は翌月10日までに所轄官庁(社会保険事務所、公共職業安定所)に届出なければなりません。その際に本人が既に年金手帳、雇用保険被保険者証を所持している場合にはそれを預かり、加入手続き時に添付します。

被扶養者がいる人については、被扶養者異動届も添付します。給与支払時の所得税の計算のため、給与所得者の扶養控除等申告書も提出してもらいます。

中途採用者の場合は前勤務先の源泉徴収票の提出も必要です。

社内書類としては、必要に応じて誓約書、身元保証書、卒業証明書、通勤手当(通勤経路)申請書、被服貸与申請書等を提出してもらいます。社員身分証明書の発行や、名刺の発注を行う他、社内注意事項の説明を行います。

採用手続きは、担当者が変わってもスムーズに進むよう、手続き手順を作成しておくと良いでしょう。

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June 28, 2005

定年者の再雇用制度

厚生労働省によると、定年制がある企業のうち60歳以上を再雇用するなど継続雇用制度があるのは67.5%だそうです。

ただし、対象を一部の社員に限定する企業が多く、定年を迎える退職者の希望者全員を原則再雇用している企業はまだ少数とのこと。

全員再雇用制度はトヨタが2006年度からの導入を目指して労使間で協議中。トヨタが導入すれば、一気に他社に広がる可能性があります。

もともと、雇用延長は厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられることに伴い、60歳定年制のままだと年金支給までに空白期間が生じるため、政府や労働界が企業に要請したことで議論が始まりました。

企業は負担増を嫌って後ろ向きでしたが、2006年から60歳以上の継続雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法が施行されることなどで、状況が変わってきました。

同法は65歳まで雇用を確保するための措置を2013年まで段階的に進めることを義務付けており、企業には定年年齢の引き上げか定年制の廃止、または65歳までの継続雇用制度の設置が求められています。

また定年者の再雇用について、給与は下がって当然だというような考えでは定年者に著しく不利になり、やる気をそぐことにもなりますので、給与などの処遇の問題も再検討しなければならないでしょう。

【2007年問題】
「団塊の世代」が定年を迎え、大量退職し始めます。団塊世代の大量退職は人手不足を招くことに加え、現場での技能伝承という観点からも深刻な問題です。2007年問題には製造業の3割が危機感を感じています。

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