人事管理

December 08, 2013

公平と公正

公平と公正の違いを考えたことありますか?


日本人は、一律とか同一とか公平いう言葉を好みますが、
これこそが労務管理の世界では問題(間違いの元)なのです。

公平にしていることが公正でないために、社員の不満の元に
なったり、法を犯したりしていることになるのです。

公平でないからと言って法律違反になるとは限りませんが、
公正でなければ法律違反となります。

「公平ではないかもしれないけど公正である」だったら良い
のですが、「公平ではあるけど公正でない」ではダメなのです。


例えば

10万円の仕事をAさんは所定労働時間(8時間)内で終わらせ
ましたが、Bさんは同じ仕事を1時間残業(9時間労働)しなければ
終わりませんでした。

2人とも時給1000円だとすると
Aさん=1000円×8時間=8000円
Bさん=1000円×8時間+1250円×1時間=9250円

同じ額(売上)の仕事をしたのに賃金に1250円の差が出ます。
賃金額としては公平ではありませんが賃金計算は公正です。

これを、同じ仕事なのだから一律8000円としたらどうでしょうか?
賃金額としては公平かもしれませんが賃金計算は公正ではありま
せん。Bさんの残業代が未払いとなり法律違反になるのです。

労働生産性で比較すると不公平が一目瞭然です。
Aさん=10万円÷8時間=12500円
Bさん=10万円÷9時間=11111円

つまりAさんの方が1時間当たり1389円多く稼いでいます。
それなのにBさんの方が賃金が多い。
仕事のできるAさんはどう思うでしょうか?。

これを是正するために
賃金の見直しや仕事内容の見直しをする必要があります。

見直さないと社員の不満が爆発するかもしれません。
賃金の見直しには月額賃金を見直す方法もありますが、
賞与による調整(Aさんの方が評価が上)を検討されても良いと思います。

遅くまで残業する社員が評価された時代は終わったのです。
能力不足による残業なのか過剰な仕事量による残業なのか、
それとも単なるお付き合い残業なのかを見極められなくては
管理者、経営者としては失格です。

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October 12, 2005

部下を動かす極意は「放っておけ!」

職場ストレスの最大要因は「上司」。
部下のやる気を引き出す最終手段は、邪魔をしないこと。
「任せたよ」の一言が実を結ぶ。

●仕事の面白さ知らせる

上司が部下の能力ややる気をどうやって引き出すか?
「部下に口出ししない」、あるいは「部下の邪魔をしない」である。

●中身は任せ段取り指示

任されると責任を感じる→仕事を真剣に理解する→理解するとやる気がわく→仕事が楽しくなる、という「正のスパイラル」になる。

●自分の強みと弱み知る

上司の責務は業績を伸ばし、部下を育てること。成長期には、放っておいても業績は伸びたし、人員にも余裕があったから部下に仕事を一任しやすかった。だが今や、上司自身も上役から評価される時代。勢い、人事管理より業務管理に力が入り、部下の仕事にも口をはさんでしまう。

上司の関与で、事業が失敗したり部下のモチベーションが下がったりした例は少なくない。

いい上司は2種類に大別できる。
・自ら事業を発想し、絵を描けるクリエーティブな人。
・自分の弱点を隠さず、堂々と部下にチャンスを与える人。

上司は自分の強みと弱みをよく知ることである。

●役割を「育てる」に集中

とにかく言うことを聞け、というボス型マネジメントから脱皮しなければならない。上司の役割を『部下を育てる』の一点に集中させ、そのおぜん立てとして、聞くノウハウを学ぶ。

●「結晶性知」磨きあげる

年をとれば、脳の機能はおおむね低下する。記憶力や新しいビジネス手法を体得する面では若手に勝てない。

だが、加齢とともに増す機能もある。

クリスタル・インテリジェンス――脳科学でいう「結晶性知」。
これとあれは同じ現象、その出来事とあの状態にはこんな共通点や相違点がある……といった全体状況を把握する直観を働かせ、物事をまとめ上げる知力。

クリスタル・インテリジェンスこそが「上司力」。人的ネットワークを活用し、組織全体のパフォーマンスを向上する力は、40歳を過ぎた上司にこそ備わっている。

記憶力の低下が気になり出したら、それを防ぐことに腐心するより、自分の周りの人たちの利点、欠点をよく把握し、合理的な組織運営に努める方がいい。要するに現場は部下に任せ、全体の運営に目配りせよということ。

(AERA:2005年3月28日号より)

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September 30, 2005

定年退職後の再雇用社員の有給休暇

定年退職後に再雇用した場合は、一般に定年前と賃金や労働条件などが変わりますので、新しい雇用契約を締結することが多いものと思われます。しかし、実質的には同じ場所で働くことが多く、単に正社員からパート社員などへ身分が切り替わっただけというケースも少なくありません。

したがって、定年退職者を引き続き再雇用した場合には、年次有給休暇の付与日数に係る勤続年数は通算しなければなりません。ただし、定年退職してから相当期間経ってから再び採用する場合には、いったん労働契約が終了したと認められますので、通算の必要はありません。

なお、パート社員などの短時間労働者として再雇用した場合は、1週間の勤務日数または1年間の平均勤務日数に応じて有給休暇を比例付与することになります。

また、基準日が来るまでは、定年退職前から付与されている有給休暇をそのまま継続して使用消化することになります。

【継続勤務の意義】(S63.3.14 基発第150号)

継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する。

イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している
  場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合
  を含む。)。 ただし、退職と再採用との間に相当期間が存し、
  客観的に労働関係が 断続していると認められる場合はこの限り
  でない(注1)
ロ 法第21条各号に該当する者でも、その実感より見て引き続き
  使用されていると認められる場合
ハ 臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、6箇月以上に及ん
   でいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されている
   と認められる場合
ニ 在籍型の出向をした場合
ホ 休職とされていた者が復職した場合
ヘ 臨時工、パート等を正規職員に切り替えた場合
ト  会社が解散し、従業員の待遇等を含め、権利義務関係が新会社
   に包括承継された場合
チ 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を
   再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前と
   ほとんど変わらず事業を継続している場合

(注1)ここでいう「相当期間」とは、ケースにもよりますが、
    少なくとも2ヶ月以上あることが妥当なようです。

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September 29, 2005

課長・部長への昇進時期早まる

財団法人・労務行政研究所がまとめた「昇進・昇格・降格に関する実態調査」によると、課長、部長に昇進する時期について、企業の約半数が「5年前に比べて早くなっている」と答えており、人材の早期登用の動きが進んでいます。また、個人の能力や成果の落ち込みを処遇に反映する「降格制度」を導入している企業は約6割にのぼっています。

ちなみに2005年4月時点または最新時点での平均年齢は、課長44.8歳、部長51.3歳となっています。


【降格制度導入】

導入年でみると2000~2004 年に集中しており、成果主義とともに降格制度を導入した企業が多いことが分かります。

●降格制度を導入したねらい(複数回答)
「資格・職務と成果のギャップの是正,公正な処遇の実現」が76.3%
「人事考課の公平性・納得性の向上」59.2%
「従業員の意識改革,職責の自覚の醸成」51.3%

●降格制度を運用するうえでの問題点(複数回答)
「降格者のモチベーションが低下している」35.5%
「降格させた後の配置が難しい」30.6%
「評価者の評価が一定でないため、裏付けとなる評価の信頼性の確保が難しい」29.0%


成果主義の導入を契機として、昇進・昇格や降格といった社員を格付けるシステムは、より成果(貢献度)に焦点を当てた形で仕組みや運用の見直しが進んでいることが分かります。

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September 06, 2005

季節(出稼)労働者の年次有給休暇

平成6年4月の労働基準法改正により、年次有給休暇の継続勤務の要件が1年から6カ月に短縮されましたので、季節(出稼)労働者についても、就労期間が6カ月以上に及ぶ場合は、6カ月を経過した時点で年次有給休暇を付与しなければならなくなりました。

さらに、就労期間が6カ月未満の者についても、季節(出稼)労働者の福祉の向上を図る観点から、前倒しをして、ある程度まとまった年次有給休暇を与えることが望ましいこととされています。

就労期間が

(1) 3カ月以上4カ月未満の者には 3日程度

(2) 4カ月以上6カ月未満の者には 5日程度

の年次有給休暇を付与するよう指導が行われています。

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September 05, 2005

社内公募制とFA制度

日本経済新聞社が主要企業を対象に実施した2005年の「働きやすい会社」調査のランキングで、松下電器産業が1位、2位は日本IBM、3位は東芝でした。

働きたい職場を選ぶ権利を社員に与えるFA(フリーエージェント)制度など、社員の意欲や能力を引き出す人事システムを用意し、積極的に活用する会社がランキングの上位を占めました。

1位の松下は、「社員の意欲に応える制度」への評価でトップ。部署ごとに配属希望の社員を募集する社内公募制やFA制度が充実していました。

【社内公募制、FA制度とは?】

社内公募制やFA制度とは、会社からの命令ではなく、やってみたいと思うポジションに自らの意思で応募する制度。社内公募制が、「空きのあるポジション」に応募する制度であるのに対して、FA制度は、「空きのあるなしにかかわらず」行きたいポジションに応募する制度です。

FA制度の方が少々過激で、より適した人がそのポジションを獲得し、そうでない人ははじき出されます。両者とも「社内転職」的な性格を持っています。

【導入時の留意点とリスク】

1.希望が通らなかった場合

一つのポジションに多数が応募した場合、全員の希望が通るとも限りません。自分が落ちて同僚が移った場合、会社側が説明をできる必要があります。

2.消極的理由による異動

中には今の上司と合わないからという理由で応募する人もいるでしょう。異動希望が会社が意図したものなのか否かの判断は難しいですが、制度の根幹に関わることなので面談などで補完する必要があります。

3.上司との衝突

優秀な人材ほど上司は放したがりません。このような囲い込みによってやる気のある人のモチベーションが下がるだけでなく、有用な頭脳の社外への流出を招くことにもなり兼ねません。

【結論】

組織を活性化する制度ではありますが、導入に関しては、多方面から社内で充分検討する必要があります。

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September 02, 2005

家族手当は必要か?

家族手当は企業において生計費を担う重要な手当として位置付けられてきましたが、最近では以下のような変化があり、見直しの動きがでています。

1.【ライフ・スタイルの多様化】
生活給・生活手当(家族手当)は、男性社員を中心とした世帯形成に合わせた金額設定がなされてきました。

20代後半で結婚し、30歳代前半で一子誕生、30歳代半ばで二子誕生といった一般的モデルに基づき生計費が設定されていたのです。

しかしながら、女性の社会進出、晩婚化、シングル層の拡大が示すように現実は大きく変化しており、企業によってはこのモデルが該当しないか、家族手当そのものが適合しなくなっています。

特に女性がメインの戦力となっている企業では、この手当を採用しないケースが多く見られます。

2.【役割・成果主義への対応】
生活手当としての家族手当は役割・職務価値や遂行度・成果観点とは異なる賃金要素であり、これら生活手当を役割・成果・能力の賃金部分に置き換える企業が増加する傾向となっています。

家族手当の採用状況は、約7-8割程度とみられます。
しかしながら、これを管理職層レベルで比較するとその率は5割を割り、年俸制・役割給導入に合わせ、減少する傾向にあります。

つまり、役職者については、賃金の絶対額が一定水準以上確保されており生計費要素に配慮する必要性がない。そこでこの部分の原資を役割・成果に反映する方法がとられることになります。

一方、一般職層については、前に指摘した生活給・生活手当見直しから家族手当の廃止・金額の見直しをすすめる動きがある反面、少子高齢化の中で配偶者、子、同居の父母に対し一定額を補填することが企業理念からも必要との考えもあり、会社としての処遇方針を決める必要があります。

【対象範囲と金額の設定】

対象範囲は、一般的には、配偶者、子、同居を条件とした父母等と考えられます。この中で、全体での公正感を維持する上からもそれぞれ対象によって一定の制限を設けることも必要となります。

【支給制限の条件例】

 配偶者
・ 所得税の非課税限度額(103万円)
・ 社会保険の被扶養者の対象限度額(130万円)

  子 
・ 人数の上限を設定
・ 年齢(18歳未満まで)、学歴制限(大学卒まで)

 本人の父母等
・扶養人数の上限を設定

金額については配偶者で1万円、配偶者+子2人で2万円に多く分布しています。

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August 29, 2005

経営者は定昇廃止を望んでいる

日本経団連は23日、春季労使交渉に関する経営者の意識調査結果を発表しました。

それによりますと、望ましい賃金決定方法については「定期昇給を廃止し、成果や業績で賃金を決定すべきだ」との回答が45.3%に上り、成果主義導入への意欲が根強いとのことです。

このほかでは「定期昇給のみで、成果や業績は賞与に反映すべきだ」との答えは36.0%、「定期昇給が中心で、必要があればベースアップも行うべきだ」との回答は9.3%にとどまりました。

経団連会員企業など2088社の労使担当役員以上を対象に実施し、509社が回答。

ベア+定昇は過去の物。
毎年給与が上がっていく時代ではありません。

賃金規程から定期昇給の文字が消え、改定に変わっている企業が増えています。賃金規程を見直しましょう。「毎年4月に昇給する」なんて文言はないでしょうね。

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August 09, 2005

「人材」から「人財」へ

他人では代替のきかない能力を発揮するヒトは「人財」。
この人たちは、高い市場価値で企業に求められます。

一方、他人と代替がきく平凡な能力のヒトは「人材」。
企業が判断する市場価値でしか受け入れてもらえません。そのまま歳をとれば、若いヒトに取って代わられる危険性もあります。

論外ですが、ただいるだけの存在である「人在」や、いると害になる「人罪」なんてヒトもいます。

分かりやすい例として、ダイヤモンドで考えてみましょう。
ダイヤモンドは、その硬さゆえに価値を持っていますが、よくよく見ればそこには二つの価値側面があります。

大粒で純度の高いダイヤは宝石として高額で取引される一方、小粒で混じり物があるダイヤは研磨材として安い価格で多量に取引されます。

前者は財(たから)としての価値ですが、後者は材料としての価値しかありません。

財としてのダイヤは希少であり時間が経っても価値は衰えませんが、研磨材としてのダイヤは量が豊富で安価であり、古くなれば新しいものに取り替えられる運命にあります。

研磨剤のダイヤは宝石にはなれませんが、「人材」は「人財」になれる可能性があります。材料から財産に変わることによって、あなたの会社での評価は雲泥の差でしょう。

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August 01, 2005

近距離手当で離職率激減?

ほとんどの会社には通勤手当があると思います。

通勤定期代など、通勤にかかる交通費を実費で支払う手当ですので、遠距離通勤の人ほど高額になり、会社から半径2キロ以内だと支給されないケースもあります。

会社にとって通勤手当は、できれば払いたくないものです。能力が同じであれば、近くに住んでいる人のほうが安い人件費(通勤手当が安い)で済みますからね。

ところが、ネット広告のサイバーエージェントでは「近距離手当」といって、渋谷の本社から二駅圏内に住むと毎月3万円を補助するといいます。二駅圏内といえば、ほぼ2キロ以内ですから、ほとんどの会社では通勤手当も支給しないかもしれません。

●なぜ、サイバーエージェントでは「近距離手当」を導入したのでしょうか?

ネットバブルがはじけた01年、社長の藤田晋は人材流出に悩んだそうです。そこで、「組織力を高めるのは仲間意識」と痛感して近距離手当を導入したところ、離職率が18%から8%に激減したといいます。離職率が減れば採用にかかる費用も減ります。逆転の発想が功を奏したわけです。

ある社員は「休日、深夜も同僚と仕事の議論をしたり、遊んだり、まるで学生のノリ」といいます。社長の言う「仲間意識」が浸透している証拠ですね。

あなたの会社でも試してみますか?

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