職場ストレスの最大要因は「上司」。
部下のやる気を引き出す最終手段は、邪魔をしないこと。
「任せたよ」の一言が実を結ぶ。
●仕事の面白さ知らせる
上司が部下の能力ややる気をどうやって引き出すか?
「部下に口出ししない」、あるいは「部下の邪魔をしない」である。
●中身は任せ段取り指示
任されると責任を感じる→仕事を真剣に理解する→理解するとやる気がわく→仕事が楽しくなる、という「正のスパイラル」になる。
●自分の強みと弱み知る
上司の責務は業績を伸ばし、部下を育てること。成長期には、放っておいても業績は伸びたし、人員にも余裕があったから部下に仕事を一任しやすかった。だが今や、上司自身も上役から評価される時代。勢い、人事管理より業務管理に力が入り、部下の仕事にも口をはさんでしまう。
上司の関与で、事業が失敗したり部下のモチベーションが下がったりした例は少なくない。
いい上司は2種類に大別できる。
・自ら事業を発想し、絵を描けるクリエーティブな人。
・自分の弱点を隠さず、堂々と部下にチャンスを与える人。
上司は自分の強みと弱みをよく知ることである。
●役割を「育てる」に集中
とにかく言うことを聞け、というボス型マネジメントから脱皮しなければならない。上司の役割を『部下を育てる』の一点に集中させ、そのおぜん立てとして、聞くノウハウを学ぶ。
●「結晶性知」磨きあげる
年をとれば、脳の機能はおおむね低下する。記憶力や新しいビジネス手法を体得する面では若手に勝てない。
だが、加齢とともに増す機能もある。
クリスタル・インテリジェンス――脳科学でいう「結晶性知」。
これとあれは同じ現象、その出来事とあの状態にはこんな共通点や相違点がある……といった全体状況を把握する直観を働かせ、物事をまとめ上げる知力。
クリスタル・インテリジェンスこそが「上司力」。人的ネットワークを活用し、組織全体のパフォーマンスを向上する力は、40歳を過ぎた上司にこそ備わっている。
記憶力の低下が気になり出したら、それを防ぐことに腐心するより、自分の周りの人たちの利点、欠点をよく把握し、合理的な組織運営に努める方がいい。要するに現場は部下に任せ、全体の運営に目配りせよということ。
(AERA:2005年3月28日号より)
Recent Comments