就業規則はヒアリングから
経営者の考え、つまり経営方針を聞くことからスタートします。方針を聞いておけば、従業員へのヒアリングもスムーズに行きます。
ヒアリングとは「聞く」ことですから、とにかく一通り聞くという姿勢が重要なのは言うまでもありません。経営者からも従業員からも本音を十分に引き出すことによって、良好な労使関係の維持発展に有益で、円滑な企業運営にも寄与する就業規則が完成します。
経営者からのヒアリングで得た経営方針や企業理念などは、就業規則の前文で謳っておくと良いでしょう。会社が従業員の労働条件に関する基本政策や考え方を明文化しておけば、士気を高めることにもなります。
経営者からのヒアリングが済んだら、いよいよ本題である従業員からのヒアリングのための調査シートの作成です。
普段はなかなか言いにくいこともありますし、誤った理解をしているところもあると思います。実情を十分に理解し、望ましい方向に持っていくためにもヒアリング調査シートの作成に精力を傾けましょう。ヒアリング調査シートが上手に作れれば、目的の半分は達せられたことになります。
<ヒアリング対象は誰か?>
●人事・労務担当者
●各セクションのマネジャーやリーダー
●一般職の男女
気軽に意見を述べることのできる者がベターです。
<調査シート作成の留意点>
●何を聞いたら良いか?
絶対的必要記載事項(労基法89条)については漏らさず聞く。
就業規則に対する理解度や認識を確かめながら聞く。
わかりにくいところや疑問に感じているところ、会社に対する要望などを聞く。
●どのように聞いたらよいか?
複数の人に同じ事を聞いていると告げ、安心感を与える。
絶対的必要記載事項については、現状をあるがままに述べてもらう。
「わかりにくい」という答えの場合は、内容自体が難しいのか、条文が理解しづらいのか、両方なのか、よく確かめることが必要。
「疑問がある」という答えの場合は、何故そう思うか?どのようにするのが良いと思うか?どのようにしてもらいたいか?という要領で進める。
<就業規則作成について配慮すべき点>
●必要記載事項が漏れなく記載されているか
●正しく記述されているか
●明瞭か、統一が取れているか
●わかりやすく書かれているか
◆今日のまとめ◆
就業規則の作成・改定の意図が従業員に正確に伝わり、よく理解されるためには、わかりやすく書かれていることが重要なポイントです。
就業規則の役割は、「就業について構成員が共有するルール」であり、このことはすべてに最優先することですから、日常的に読まれない、利用しにくいというものでは意味がありません。
ヒアリングを通じて、就業規則に何が求められ、どういう使われ方が望ましいのかを十分に把握して、より良いものを作るようにしましょう。
Recent Comments