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September 2005

September 30, 2005

定年退職後の再雇用社員の有給休暇

定年退職後に再雇用した場合は、一般に定年前と賃金や労働条件などが変わりますので、新しい雇用契約を締結することが多いものと思われます。しかし、実質的には同じ場所で働くことが多く、単に正社員からパート社員などへ身分が切り替わっただけというケースも少なくありません。

したがって、定年退職者を引き続き再雇用した場合には、年次有給休暇の付与日数に係る勤続年数は通算しなければなりません。ただし、定年退職してから相当期間経ってから再び採用する場合には、いったん労働契約が終了したと認められますので、通算の必要はありません。

なお、パート社員などの短時間労働者として再雇用した場合は、1週間の勤務日数または1年間の平均勤務日数に応じて有給休暇を比例付与することになります。

また、基準日が来るまでは、定年退職前から付与されている有給休暇をそのまま継続して使用消化することになります。

【継続勤務の意義】(S63.3.14 基発第150号)

継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する。

イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している
  場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合
  を含む。)。 ただし、退職と再採用との間に相当期間が存し、
  客観的に労働関係が 断続していると認められる場合はこの限り
  でない(注1)
ロ 法第21条各号に該当する者でも、その実感より見て引き続き
  使用されていると認められる場合
ハ 臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、6箇月以上に及ん
   でいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されている
   と認められる場合
ニ 在籍型の出向をした場合
ホ 休職とされていた者が復職した場合
ヘ 臨時工、パート等を正規職員に切り替えた場合
ト  会社が解散し、従業員の待遇等を含め、権利義務関係が新会社
   に包括承継された場合
チ 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を
   再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前と
   ほとんど変わらず事業を継続している場合

(注1)ここでいう「相当期間」とは、ケースにもよりますが、
    少なくとも2ヶ月以上あることが妥当なようです。

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September 29, 2005

課長・部長への昇進時期早まる

財団法人・労務行政研究所がまとめた「昇進・昇格・降格に関する実態調査」によると、課長、部長に昇進する時期について、企業の約半数が「5年前に比べて早くなっている」と答えており、人材の早期登用の動きが進んでいます。また、個人の能力や成果の落ち込みを処遇に反映する「降格制度」を導入している企業は約6割にのぼっています。

ちなみに2005年4月時点または最新時点での平均年齢は、課長44.8歳、部長51.3歳となっています。


【降格制度導入】

導入年でみると2000~2004 年に集中しており、成果主義とともに降格制度を導入した企業が多いことが分かります。

●降格制度を導入したねらい(複数回答)
「資格・職務と成果のギャップの是正,公正な処遇の実現」が76.3%
「人事考課の公平性・納得性の向上」59.2%
「従業員の意識改革,職責の自覚の醸成」51.3%

●降格制度を運用するうえでの問題点(複数回答)
「降格者のモチベーションが低下している」35.5%
「降格させた後の配置が難しい」30.6%
「評価者の評価が一定でないため、裏付けとなる評価の信頼性の確保が難しい」29.0%


成果主義の導入を契機として、昇進・昇格や降格といった社員を格付けるシステムは、より成果(貢献度)に焦点を当てた形で仕組みや運用の見直しが進んでいることが分かります。

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September 28, 2005

裁量労働制は残業代不要?

裁量労働制とは、その性質上業務遂行の方法や手段、時間配分について、使用者から「ああしろこうしろ」と具体的な指示や監督を受けない労働形態をいいます。

たとえば、研究開発などは大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者の具体的な指揮監督になじみません。

このような業務は、その業務を通常、処理するためにはどの程度の時間を労働するとするのが適当であるかについて労使で協定をし、その時間、労働したものとみなすわけです。

実際に働いた時間がどれだけであっても、所定労働時間の労働をしたものとしてみなされます。これを「みなし労働時間」といいます。

つまり、実際には1日に6時間しか働いていない場合でも、逆に10時間働いた場合でも、あらかじめ定めたみなし労働時間が8時間であれば、8時間働いたことになるのです。

1日10時間働いていれば、実際には法定労働時間を2時間超えたことになるはずです。

しかし、裁量労働制が採用され、みなし労働時間が8時間と定められていれば、8時間しか働いたことにならず、残業代が発生しないことになってしまいます。そのため、裁量労働制は残業隠しの隠れ蓑として利用される恐れもあるのです。

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September 27, 2005

外国人研修・技能実習制度

開発途上国等には、自国の経済発展と産業振興の担い手となる人材を育成する観点から、特に青壮年の働き手に先進国の進んだ技術・技能や知識を修得させようとするニーズがあります。このようなニーズに的確に応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間日本の産業界に受け入れて産業上の技術・技能・知識を修得してもらう仕組みが、「外国人研修・技能実習制度」です。

【制度の基本的な枠組み】

1.開発途上国の人材育成協力

a. 単純労働力として受け入れるものではなく、国際的な人材育成
として実施すること
b. 講義主体の研修方式に加えて、OJTの採用により実践的な技
能移転を可能とすること
c. 技能移転を確実に行なうため、修得技能の目標と修得方法等に
関する研修計画や技能実習計画を作成・履行させるとともに、
技能実習移行等に際し、技能修得状況のチェックを行なう公正
な技能評価制度を設けること
d. 研修生・技能実習生は、帰国後修得技能を発揮すること 

2.秩序だった受入れ

a. より多くの国の多数の青壮年に職業能力開発の機会を提供
すること
b. 受入れ機関の受入れ人員枠を設定すること
c. 在留期間は、研修・技能実習を合わせて最大3年とすること

3.研修生・技能実習生の保護

a. 受入れ機関は、研修生に対して、研修手当(生活実費)、安全
衛生、保険、生活指導、宿舎等について入管法令等に基づき
適切な措置を行うこと
b. 受入れ機関は、技能実習生に対し、労働者としての位置付け
の下に、賃金、労働時間、安全衛生、労災補償等について
労働法令、労働・社会保険法令上の権利を保障すること

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September 26, 2005

転職の欲求5段階

マズローの「欲求5段階説」をご存知だろうか?
ご存じない方のために概略を説明しましょう。

【マズローの欲求5段階説】

アメリカの心理学者のアブラハム・マズローが唱えた「欲求5段階」のことで、

一番目(最初の欲求)は「生理的な欲求」
人間が生きる上での食や睡眠、性などに関わる根源的な欲求をいいます。

二番目は「安全・安定の欲求」
安全な住まい、安全な環境、安定した生活への欲求がここに含まれます。

三番目は、「親和・帰属の欲求」
他者と親しく関わり、なにかの集団に属していたいという欲求となります。

四番目は、「尊敬を受けたい欲求」
これは、他者から尊敬され、名声・地位などを獲得したいという欲求です。

五番目は、「自己実現の欲求」
自分の能力や可能性を発揮し、創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求です。

「インテリジェンスの業界レポート」で、「マズローの欲求5段階説」を元に、「転職の欲求5段階」を考察していますので紹介します。

【転職欲求における5段階】

(1)生理的欲求による転職
近年、職場でのストレスがかなり大きくなっている。組織運営の理不尽さや人間関係の悪化、種々のハラスメントからくるストレスによって、不眠症やうつ病を患うビジネスパーソンが急増している。もし、そういった原因から、眠れない、食欲がないといった状況に追い込まれているとしたら、それは「生理的欲求」がおびやかされていることである。健全な職場環境を求めて、転職を決断するときかもしれない。

(2)安全・安定の欲求による転職
もし、いま働いている会社が不安定であり、近い将来、会社の存続も危ぶまれる状況だとすれば、転職という選択肢を真剣に考える必要がある。もちろん、その会社に忠誠心があって、なんとかしたいと強く思う場合は、そこに留まって、会社を立て直すという選択肢もある。

(3)親和・帰属の欲求による転職
自分の行動価値観・ビジネス観と、会社が持つ企業価値観・企業文化に著しい隔たりがあって、自分が組織からなんとなく「浮いているな」「孤立しているな」と思ったら、それも転職の動機となりうる。自分の可能性は、環境・組織によって開花させられる場合も多いのだ。

(4)尊敬を受けたい欲求による転職
自分の業務成果がいっこうに正当に評価されない。なぜか、昇進が遅い。この場合も、自分を高く評価してくれる企業探しをはじめたほうがいい場合もあるだろう。

(5)自己実現の欲求による転職
入社後何年経っても、同じような仕事ばかりが続く。チャレンジングな仕事が社内に見出せない。先輩社員や管理職が若い才能を伸ばそうとしない。こうした閉塞状況から抜け出るために、より大きなチャンスを与えてくれそうな会社に移ることで、自分のキャリアが一気に開く場合もある。

転職をしたいという欲求にもいろいろな段階があります。転職は、だれしも現状に問題や不満、物足りなさを感じているからこそ行うわけですが、だからといって転職さえすれば、必ず現状より状況が好転するという保障はありません。移ろうとする会社が、本当に自分に適していて、チャンスをくれそうかどうかは、事前に十分吟味することが必要です。転職にはリスクが伴うことも忘れてはならないでしょう。

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September 24, 2005

労災保険未手続事業所は10割負担へ

厚生労働省は、労災保険の加入を拒んでいる事業所で事故が起きた場合に、保険給付額の全額を事業主から徴収すると発表しました。現行ではこうした悪質事業所の負担は4割で、大幅な罰則強化となります。11月から実施し、費用徴収に応じない場合は差し押さえに踏み切るといいます。

労災保険は業務中の事故などの際に一定の保険金を給付する制度です。社員のいる事業所すべてに加入義務があります。未加入でも労働者保護の観点から労働者や遺族への給付は出る仕組みになっています。

【費用徴収制度の運用強化の内容】

1.加入手続について行政機関からの指導等を受けたにもかかわらず、事業主がこれを行わない期間中に労災事故が発生した場合、現行の取扱いでは「故意又は重大な過失により手続を行わないもの」と認定して保険給付額の40%を徴収しているが、これを改め「故意に手続を行わないもの」と認定して保険給付額の100%を徴収する。

2.加入手続について行政機関からの指導等を受けていないが、事業主が事業開始の日から1年を経過してなお加入手続を行わない期間中に労災事故が発生した場合、「重大な過失により手続を行わないもの」と認定して、新たに費用徴収の対象とし保険給付額の40%を徴収する。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/09/h0920-1.html

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September 23, 2005

佐川急便、集配で「偽装請負」

佐川急便が荷物の集配業務で、実際には取引業者から労働者の派遣を受けながら、業務委託の形で下請けに出したように契約を結んでいたとして、今年2月に東京労働局から労働者派遣法に基づく是正指導を受けていたことが22日、わかりました。

こうした契約は「偽装請負」と呼ばれます。
東京労働局は業務委託ではなく、違法な派遣と判断したわけです。

【偽装請負】

契約上は業務請負であっても実態が人材派遣に該当するものをいいます。

職業安定法施行規則第4条によれば、 労働者を提供しこれを他人の指揮命令を受けて 労働に従事させる者は たとえその契約の形式が請負契約であっても

1.作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負う
2.作業に従事する労働者を、指揮監督する
3.作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負う
4.自ら提供する機械、設備、器材、若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでない

以上4点、すべて満たさないものは労働者供給事業を行う者、すなわち派遣を行っている者とみなされます。

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September 22, 2005

傷病手当金の支給要件

健康保険では、被保険者が私傷病の療養のため仕事につけなくなった場合(「労務不能」といいます。)最初の3日を除き(これを「待期」といいます。)4日目から傷病手当金が支給されます。支給期間は、支給を開始した日から数えて1年6か月です。

「療養のため」とは、保険診療を受けている場合だけではなく、自費で診療を受けている場合や自宅療養の場合も該当します。

「労務不能」とは、症状など客観的にみて仕事に就けない状態にあり、しかも現実に仕事に就かなかったことをいいます。

労務不能であるかどうかは、その人が従事している業務の内容や種別などを考慮して、その本体の業務に就けるかどうかを基準として判断されることになります。

したがって、軽い業務ならばできる状態であっても、本来の業務につけない状態であれば、労務不能ということになります。

しかし、労務不能と認められるためには、現実に仕事に就かなかったことが必要となりますから、実際に軽い業務に就いてしまうと、その日は労務不能とは認められなくなってしまいます。

【待期3日間】

この場合の3日間は、労災保険の休業補償給付・休業給付とは異なり、通算して3日間ではなく、連続して3日間となっています。待期の間に所定休日があっても、休んだ日について年次有給休暇を行使しても、待期は完成します。

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September 21, 2005

人事部向けの需要が急増する人材派遣

人材派遣市場で人事部向け事務職の需要が伸びているといいます。秋から年末にかけては来春の採用業務などが集中する繁忙期に入るため、経験者を中心に派遣要請が増えています。

需要は給与計算など幅広い業務で増えていますが、採用関連業務の伸びが目立っています。多くの企業ではバブル期以降に人事部の人員を減らしており、景気回復傾向で業務量が増えてきていることも背景にあります。

また、即戦力を求める企業が多いため派遣料金も高値で推移しています。

【派遣会社が請求する料金(首都圏)】

一時間当り1,800円~2,400円前後。
経験や知識を積んだ人材は一時間当り2,200円~2,400円
一般事務職に比べ500円強高い水準。
昨年に比べ100円ほど高い水準で契約する事例もある。

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September 20, 2005

36協定の意味と必要性

労基法36条は時間外及び休日の労働を定めている法律です。

時間外労働、休日労働が許されるためには、事業場の労働者の過半数で組織されている労働組合と書面による協定(いわゆる36協定)を結び、労働基準監督署に届けなければなりません。

事業所場にそのような労働組合がない場合は、使用者は労働者の過半数を代表する者との間で協定を結ばなければなりませんが、その代表者は、労基法41条2号の管理・監督の地位にある者ではないこと、労使協定の過半数代表者の選出である旨を明らかにして実施される投票・挙手などによる方法で選出された者でなければなりません。

36協定は、労働時間又は休日の原則(法定労働時間又は法定休日)を超えて、労働者に労働させる場合に締結、届出が必要となります。

 ◆具体例◆

① 週休2日制を採用し、1日の労働時間を7時間と定めている事業場において、1日の労働時間を1時間延長する場合には、1日8時間、1週40時間以内であるから、協定を締結する必要はありません。

② 1ヵ月単位の変形労働時間制を採用し、就業規則その他これに準ずるものにおいて、Aの日の労働時間を10時間、Bの日を6時間、Cの日を4時間と定め、しかも当該週の労働時間が36時間である場合、Bの日の延長時間が2時間以内である場合や、Cの日の時間延長が4時間以内であるときは、1日8時間以内かつ、週40時間以内であるので、協定は必要ありません。ただし、1ヵ月の労働時間が法定労働時間の総枠を超える場合には必要です。

③ (協定が必要なのは法定の)週1回の休日をさし、事業場によってこの基準を上回って与えることにしている国民の祝日、会社創立記念日等は含まれません。したがって、これらの休日に出勤させるときは、それによって1週間の労働時間が40時間を超えることとなる場合等を除き、協定は必要ありません。

④ 週休2日制を採用している事業場が週2日の休日のうち1日のみ出勤させる場合にも、1週間の労働時間が40時間以内となるのであれば、協定を締結する必要はありません。

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September 16, 2005

就業規則はヒアリングから

経営者の考え、つまり経営方針を聞くことからスタートします。方針を聞いておけば、従業員へのヒアリングもスムーズに行きます。

ヒアリングとは「聞く」ことですから、とにかく一通り聞くという姿勢が重要なのは言うまでもありません。経営者からも従業員からも本音を十分に引き出すことによって、良好な労使関係の維持発展に有益で、円滑な企業運営にも寄与する就業規則が完成します。

経営者からのヒアリングで得た経営方針や企業理念などは、就業規則の前文で謳っておくと良いでしょう。会社が従業員の労働条件に関する基本政策や考え方を明文化しておけば、士気を高めることにもなります。

経営者からのヒアリングが済んだら、いよいよ本題である従業員からのヒアリングのための調査シートの作成です。

普段はなかなか言いにくいこともありますし、誤った理解をしているところもあると思います。実情を十分に理解し、望ましい方向に持っていくためにもヒアリング調査シートの作成に精力を傾けましょう。ヒアリング調査シートが上手に作れれば、目的の半分は達せられたことになります。

<ヒアリング対象は誰か?>

 ●人事・労務担当者
 ●各セクションのマネジャーやリーダー
 ●一般職の男女

  気軽に意見を述べることのできる者がベターです。

<調査シート作成の留意点>

●何を聞いたら良いか?

絶対的必要記載事項(労基法89条)については漏らさず聞く。
就業規則に対する理解度や認識を確かめながら聞く。
わかりにくいところや疑問に感じているところ、会社に対する要望などを聞く。

●どのように聞いたらよいか?

複数の人に同じ事を聞いていると告げ、安心感を与える。
絶対的必要記載事項については、現状をあるがままに述べてもらう。
「わかりにくい」という答えの場合は、内容自体が難しいのか、条文が理解しづらいのか、両方なのか、よく確かめることが必要。
「疑問がある」という答えの場合は、何故そう思うか?どのようにするのが良いと思うか?どのようにしてもらいたいか?という要領で進める。

<就業規則作成について配慮すべき点>

 ●必要記載事項が漏れなく記載されているか
 ●正しく記述されているか
 ●明瞭か、統一が取れているか
 ●わかりやすく書かれているか

◆今日のまとめ◆

就業規則の作成・改定の意図が従業員に正確に伝わり、よく理解されるためには、わかりやすく書かれていることが重要なポイントです。

就業規則の役割は、「就業について構成員が共有するルール」であり、このことはすべてに最優先することですから、日常的に読まれない、利用しにくいというものでは意味がありません。

ヒアリングを通じて、就業規則に何が求められ、どういう使われ方が望ましいのかを十分に把握して、より良いものを作るようにしましょう。

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September 15, 2005

就業規則作成のメリットって?

【メリット】

1.使用者にとって
   
 ・職場秩序を確立し、組織的な企業運営ができる。
 ・多数の従業員の労働条件を統一的に処理できる。
 ・労働条件に関する労使間のトラブルを防ぎ、
  円滑な業務運営ができる。

2.従業員にとって

 ・労働条件がはっきりし、安心して働くことができる。
 ・守るべきルールが明確になる。
 ・使用者の勝手な懲戒処分等を受ける心配がなくなる。

  などをあげることができます。

【形式だけの従業員意見書】

労基法に違反していない限り、たとえ従業員代表が反対したとしても就業規則としての効力には影響しません。

◎こんな「形式だけの就業規則」で満足できますか?

使用者は満足できても、従業員は決して満足しませんし、トラブルの元にもなりかねません。

従業員の本音を十分に引き出してこそ、良好な労使関係を維持でき、円滑な企業運営にも寄与することになります。

【就業規則作成の流れ(概略)】

1.使用者(経営者)からのヒアリング

 会社としては、どのように考えているのか。
 最初に方針を決める事が大事です。
 まずは会社の意向ありきです。

2.ヒアリングシートの作成

 従業員の認識、要望を把握するための作業です。
 ヒアリングシートの良し悪しで決まりますから
 十分に検討しましょう。

3.従業員からのヒアリング

 従業員の中には、一般従業員の他に、人事・労務担当者
 や女性従業員も含めてください。

4.ヒアリング結果のまとめ

 ヒアリングをまとめ、就業規則の原案を作成します。

5.就業規則作成

 従業員代表の意見書  従業員へ周知

6.労働基準監督署へ提出

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September 14, 2005

就業規則は事業所の実態を踏まえて!

就業規則は、会社の憲法のようなものですから、事業所の実態や労務管理の方針に応じて決められるべきものです。

しかし、他の会社の就業規則をそのまま借用したり、市販のモデル就業規則を丸写しにしたものが案外多いのも実情のようです。(助成金申請のためにとりあえず作成した場合などは、実態を踏まえた内容となっていないことが多いです。)

そのような就業規則は、体裁は整っていても職場の実態とは、かけ離れたものとなりがちで、その結果労働者も使用者もこれを尊重しないこととなり、就業規則としての機能が果たせず、かえってトラブルの元ともなりかねないのです。

就業規則の作成に当たっては、現在職場で実施している労働時間・賃金制度等の労働条件あるいは規律に関する制度や慣行を整理し、それをもとにしながら実際に改善したい点も含めて、内容を検討することが重要です。これがヒアリング調査といわれるものです。

また、労働条件等は時とともに変わっていくのが普通ですから、就業規則を作成したあとも、見直しを行い、常に実態に合ったものとしていく必要があります。

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September 13, 2005

就業規則はなぜ必要なのか?

今までも、就業規則に関連した記事を何度か書いてきましたが、今日からまとまったものを続けて書こうと思います。

まず最初は、就業規則はなぜ必要なのか?という疑問から答えましょう。

企業経営のために多くの従業員を使用することが必要な場合、始業・終業の時刻、休憩、休日などの労働時間に関すること、賃金に関することなど従業員が就業上守るべきことについて一律に定めておかなければ、一人一人の従業員ごとに決めなければならず、非常に煩雑な手続きが必要になります。

単に手続きが煩雑なだけでなく、これでは企業としての組織自体がうまく機能しないでしょう。

このため、企業秩序を維持し、合理的、能率的な企業運営を行うという経営上の必要性から、労働条件や服務規律などを統一的に定めておくことが重要となるのです。

従業員にとっても、労働条件や服務規律などを承知した上で働ける職場であれば、安心して働けることは言うまでもありません。

そこで、企業としては、就業上守るすべき規律や労働条件に関する基準を定めて明文化したものが必要となります。これが「就業規則」です。

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September 12, 2005

身元保証人の責任範囲

社員を雇い入れるときに、身元保証人を要求することがあります。

【保証をとる目的】

例えば、社員が売上金を着服するなど会社に損害を与えたときに、その賠償責任を問い、損害を確実に支払わせるため。

またその人物の身元を確認する目的もあります。身元保証書を提出することにより、使用者と身元保証人の間に身元保証契約が成立することになります。

【契約期間】

・期間の定めのない身元保証契約は、成立の日から3年間有効。
・有効期間を定めた場合でも、5年以上の期間を定めることは出来ない。
・更新する場合でも、更新したときから5年を超えてはならない。

【保証人への通知義務】

・業務内容の変更や身元保証人に責任が及ぶ恐れがある場合など保証契約内容に変更があったときは、保証人に通知すること。
・通知を受けた場合、またはその事態を知った場合に保証人は、それ以後の契約を解除することが出来る。

判例では、この通知を怠っていたため損害賠償を請求できなかったケースもあります。

これらのことを考え合わせますと、金銭的問題が起こり得る業務に従事する社員に対しての身元保証について、見直しが必要な場合もあります。

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September 11, 2005

男脳・女脳

男性と女性では脳の構造が違います。あなたの脳は男脳ですか?女脳ですか?

http://www.chaoo.net/sindan/ で、あなたの脳の性別を診断できます。
一度試してみませんか?

男性だから男脳、女性だから女脳、とは限りません。
女脳の男性、男脳の女性、もいらっしゃいます。

【私の診断結果】

中性的男性脳 あなたは、標準的な男性脳の持ち主ですが、同時に女性的な面も、いくらか持ち合わせています。どちらかというと何かに挑戦するのが好きで、空間能力や論理的な考え方を使う分野で力を発揮できます。比較的に人との対話を重視し、仕事面ではチームの取りまとめをすることに適しています、努力次第で、女性的な考え方や感情なども得られます。

何年か前、『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がベストセラーになりました。

【内容】
女は歯を磨きながらでも歩き回ったり、いろいろなことを話したりできるのに、男にはこれができない。なぜ女はストレスが溜まるとおしゃべりをするのか。なぜ買い物嫌いの夫がこんなに多いのか。

バーバラとアラン・ピーズ夫妻によると、「私たちがどう考えどう行動するかは、脳の配線と、体内を駆け巡るホルモンという2つの要因によって、生まれるずっと前からほとんど決まっている」という。

社会化する過程や、政治観や、しつけが違うだけではない。男と女は脳が大きく違っていて、生まれつき違う行動をする傾向がある。

こうした違いがもとで、満足のいく人間関係を築けないケースがあまりにも多い。

だから、男女の基本的衝動の違いを理解すれば、自己認識を深めることができるし、男女間の関係も改善できる。

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September 10, 2005

現場直行の時間は労働時間?

現場へ着くまでの時間、あるいは現場から会社へ戻ってくる時間は、労働時間なのか、それとも通勤時間なのか。

出張の場合の移動時間については、通勤時間と同じ性質であるとみて労働時間でないとする説と、使用者の拘束のもとにある時間とみて、労働時間であるとする説とがあります。

ただ、実際の取扱いについては、通勤の延長としての意味しか持たない場合には労働基準法上の労働時間にはならず、ただ労働契約上補償される時間かどうかが問題になるだけです。

つまり、現場へ行くまでの時間が極端に早いときでも、その時間は労働基準法上割増賃金の支払義務は発生しないということです。

とはいえ、近場で作業する他の労働者との不均衡が予想されますので、なんらかの形で公平化を図ることが必要と考えます。

出勤から帰社までの時間を総合して割増賃金を算定するのが適当でないとすれば、手当として処理する方法が考えられます。

金額の算定としては現場までかかる時間、あるいは距離を基準とすればよいでしょう

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September 09, 2005

労働契約法制定へ

厚生労働省は8日、労働者と使用者が労働条件を決める際の基本的なルールや手続きなどを定める「労働契約法」を制定する方針を決めた。

労働契約法の制定は、就業形態が多様化し、労働の最低条件を一律に定めた労働基準法などでは対応しきれなくなったため。

2007年にも法案を国会へ提出する。

【ポイント】

1.労働組合がなくても労働条件の変更などを円滑に行える労使協
  議の場(労使委員会)を常設
2.解雇が無効とされた場合でも、職場復帰せず金銭補償する道を
  開く
3.契約内容の変更に不服でも、解決まで一時的に雇用主の要求を
  受け入れ解雇を防ぐ
4.出向後も出向前の賃金水準を維持するよう出向元・出向先が保
  証   転籍先の条件などを書面で示す
5.試用期間の上限の設定
6.解雇の理由を文書で示す
7.雇用主側から働きかけた退職を受け入れても、8日程度はクーリ
  ングオフが可能に

【現在の解雇をめぐる裁判】

解雇が有効か無効かという二者択一の判断しかない。
企業は解雇無効の判決なら労働者を職場復帰させる必要がある。
実際には裁判で解雇が無効になっても職場復帰は難しく、新たな争いが生じる例が多い。

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September 06, 2005

季節(出稼)労働者の年次有給休暇

平成6年4月の労働基準法改正により、年次有給休暇の継続勤務の要件が1年から6カ月に短縮されましたので、季節(出稼)労働者についても、就労期間が6カ月以上に及ぶ場合は、6カ月を経過した時点で年次有給休暇を付与しなければならなくなりました。

さらに、就労期間が6カ月未満の者についても、季節(出稼)労働者の福祉の向上を図る観点から、前倒しをして、ある程度まとまった年次有給休暇を与えることが望ましいこととされています。

就労期間が

(1) 3カ月以上4カ月未満の者には 3日程度

(2) 4カ月以上6カ月未満の者には 5日程度

の年次有給休暇を付与するよう指導が行われています。

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September 05, 2005

社内公募制とFA制度

日本経済新聞社が主要企業を対象に実施した2005年の「働きやすい会社」調査のランキングで、松下電器産業が1位、2位は日本IBM、3位は東芝でした。

働きたい職場を選ぶ権利を社員に与えるFA(フリーエージェント)制度など、社員の意欲や能力を引き出す人事システムを用意し、積極的に活用する会社がランキングの上位を占めました。

1位の松下は、「社員の意欲に応える制度」への評価でトップ。部署ごとに配属希望の社員を募集する社内公募制やFA制度が充実していました。

【社内公募制、FA制度とは?】

社内公募制やFA制度とは、会社からの命令ではなく、やってみたいと思うポジションに自らの意思で応募する制度。社内公募制が、「空きのあるポジション」に応募する制度であるのに対して、FA制度は、「空きのあるなしにかかわらず」行きたいポジションに応募する制度です。

FA制度の方が少々過激で、より適した人がそのポジションを獲得し、そうでない人ははじき出されます。両者とも「社内転職」的な性格を持っています。

【導入時の留意点とリスク】

1.希望が通らなかった場合

一つのポジションに多数が応募した場合、全員の希望が通るとも限りません。自分が落ちて同僚が移った場合、会社側が説明をできる必要があります。

2.消極的理由による異動

中には今の上司と合わないからという理由で応募する人もいるでしょう。異動希望が会社が意図したものなのか否かの判断は難しいですが、制度の根幹に関わることなので面談などで補完する必要があります。

3.上司との衝突

優秀な人材ほど上司は放したがりません。このような囲い込みによってやる気のある人のモチベーションが下がるだけでなく、有用な頭脳の社外への流出を招くことにもなり兼ねません。

【結論】

組織を活性化する制度ではありますが、導入に関しては、多方面から社内で充分検討する必要があります。

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September 04, 2005

年金書類の事前送付サービス

社会保険庁は10月から、厚生年金や国民年金の加入者が受け取る年齢になる直前に年金の請求書類を送付するサービスを始めます。

これまでは加入者が自分で気をつけて請求手続きに出向く必要があり、「不親切」との批判が多くありました。

年金請求書は加入者が60歳になる3カ月前に郵送します。一定の加入要件を満たし、60歳から厚生年金を受け取ることができる人が対象です。

60歳からは年金を受け取れない人や、加入期間が足りない人には、その旨を説明した案内はがきを送付します。

65歳から国民年金だけを受け取る人や、請求し忘れている人に対しては65歳の誕生日の3カ月前に書類を送るサービスも同時に始めます。

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September 02, 2005

家族手当は必要か?

家族手当は企業において生計費を担う重要な手当として位置付けられてきましたが、最近では以下のような変化があり、見直しの動きがでています。

1.【ライフ・スタイルの多様化】
生活給・生活手当(家族手当)は、男性社員を中心とした世帯形成に合わせた金額設定がなされてきました。

20代後半で結婚し、30歳代前半で一子誕生、30歳代半ばで二子誕生といった一般的モデルに基づき生計費が設定されていたのです。

しかしながら、女性の社会進出、晩婚化、シングル層の拡大が示すように現実は大きく変化しており、企業によってはこのモデルが該当しないか、家族手当そのものが適合しなくなっています。

特に女性がメインの戦力となっている企業では、この手当を採用しないケースが多く見られます。

2.【役割・成果主義への対応】
生活手当としての家族手当は役割・職務価値や遂行度・成果観点とは異なる賃金要素であり、これら生活手当を役割・成果・能力の賃金部分に置き換える企業が増加する傾向となっています。

家族手当の採用状況は、約7-8割程度とみられます。
しかしながら、これを管理職層レベルで比較するとその率は5割を割り、年俸制・役割給導入に合わせ、減少する傾向にあります。

つまり、役職者については、賃金の絶対額が一定水準以上確保されており生計費要素に配慮する必要性がない。そこでこの部分の原資を役割・成果に反映する方法がとられることになります。

一方、一般職層については、前に指摘した生活給・生活手当見直しから家族手当の廃止・金額の見直しをすすめる動きがある反面、少子高齢化の中で配偶者、子、同居の父母に対し一定額を補填することが企業理念からも必要との考えもあり、会社としての処遇方針を決める必要があります。

【対象範囲と金額の設定】

対象範囲は、一般的には、配偶者、子、同居を条件とした父母等と考えられます。この中で、全体での公正感を維持する上からもそれぞれ対象によって一定の制限を設けることも必要となります。

【支給制限の条件例】

 配偶者
・ 所得税の非課税限度額(103万円)
・ 社会保険の被扶養者の対象限度額(130万円)

  子 
・ 人数の上限を設定
・ 年齢(18歳未満まで)、学歴制限(大学卒まで)

 本人の父母等
・扶養人数の上限を設定

金額については配偶者で1万円、配偶者+子2人で2万円に多く分布しています。

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September 01, 2005

退職後の医療保険はどうする?

退職後の医療保険を、健康保険の任意継続とするか、それとも国民健康保険への加入とするかは悩むところです。

退職した人の医療保険については、再就職して被保険者資格を取得したり、被扶養者になる場合を除けば、在職中の健康保険の任意継続被保険者となるか、新たに国民健康保険に加入するかのどちらかを選択することになります。

健康保険の任意継続被保険者になるには、被保険者資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2ヵ月以上被保険者であったことが必要で、資格喪失後20日以内に継続のための手続をとらなければなりません。もし、この条件を満たしていなければ、必然的に国民健康保険に加入することになります。

任意継続か国民健康保険への加入のどちらが有利であるかは、一概には言えません。

かつては健保の本人負担が2割だったことから、給付面で任意継続が有利なケースが多かったのですが、現在はいずれも3割負担で他の給付内容もほとんど同じです。

したがって、負担する保険料の額が選択の決め手となる場合が多いようです。

任意継続の保険料は、全額を被保険者が負担しなければなりませんから、在職中の負担額の2倍相当額です。ただし,標準報酬月額が所属する保険グループの平均額(政管健保の場合は28万円)を超える場合には、その平均額を基準に保険料額が計算されます。

一方、国民健康保険の保険料は、住んでいる市町村によって額が異なります。前年度の所得を基に、所得割率・均等割・平等割・資産割等によって決定されます。決定方法は、各市町村によって異なります。

所得割: その世帯の前年所得に応じて算定
均等割: 加入者一人当たりいくらとして算定
平等割: 一世帯当たりいくらとして算定
資産割: その世帯の資産(固定資産)に応じて算定

<例>:世田谷区の国民健康保険料

以上のようなことから、国保に加入した場合の保険料を調べてみた上で、どちらが得か比較検討されることをオススメします。

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