共同通信によると、日本マクドナルドホールディングスは1日、社員やアルバイトの勤務時間を誤って把握していたため不払いとなっていた賃金を、2003年8月にさかのぼって支払うと発表。労働時間を30分単位で把握、端数分を切り捨てていたそうです。
●どこが違法なのかわかりますか?
労働時間を30分単位で把握、端数分を切り捨てるとどうなる?
たとえば、23分といった端数が出た場合に、30分未満を0分として切り捨てる取扱いを行ったとしたらどうでしょうか?
1回23分の残業を1か月に20回行った場合、先の条件ですと30分未満の残業時間は切り捨てられてしまいますので、1か月を通算しても残業時間は0になってしまいますが、現実には23分×20回で460分、つまり7時間40分の残業をしています。
労働基準法37条では「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と定めていますので、1回の時間外労働の端数の切り捨て・切り上げを行って、区切りの良い時間に整理することは実際には時間外労働を行っているにもかかわらず、時間外労働とカウントされない時間が生じる場合があり、適法ではありません。
●では、どうすれば良いのでしょう?
このような労働時間・賃金額の端数処理について、以下の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務の効率性を目的としたものとして、違法ではないとされています。
(1)1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
(2)1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
(3)1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(2)と同様に処理すること。
したがって、残業時間については、1か月分の残業時間を集計した上で、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げれば良いでしょう。また、賃金額の端数については、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げれば良いでしょう。
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