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July 03, 2005

労災保険と健康保険の落とし穴

事業主が仕事中にケガをした場合、労災保険と健康保険のどちらの保険制度で治療を受けることができるでしょうか?

1.仕事中のケガだから労災保険
2.労災保険は従業員に適用される保険だから健康保険
3.保険は使えない

と、いろいろな答えが出てくるでしょう。

事業主が仕事中にケガをした場合、原則として保険制度は適用されず、治療費用は全額事業主個人が負担することになります。

なぜこのようなことになってしまうのか?これが労災保険法と健康保険法の落とし穴といえます。

それぞれの保険は次のように規定されています。

【労災保険】

労働者の業務上または通勤時の労災事故ついて所定の給付を行い、保護することを目的とした制度です。このため、法人の事業主および個人事業主は、原則として被保険者になれないと規定しています。
ただし、一定の要件に該当する事業主は、その事業所の労働者が労災保険に加入していれば、特別加入という方法で労災保険に加入することはできますが、従業員が1人もいなければ、当然特別加入はできません。

【健康保険】

被保険者および被扶養者の業務外の事由によるケガなどに保険給付を行うことを目的としています。 “業務外の事由”と定義されているので、仕事中のケガは保険給付の対象外となります。

よって、事業主の仕事中のけがについては、どちらの保険も適用されず、治療費用は全額自己負担ということになってしまうのです。

ただし、

【個人事業主の場合】

国民健康保険に加入することになりますので、業務上外に拘わらず給付が受けられることになります。
国民健康保険は業務外の傷病のみに適用するという規定がなく、被保険者(老人保健法の対象者を除く)の疾病、負傷について給付すると規定されているだけです。

【法人の事業主の場合】

もし、事業主が、強制適用を無視して健康保険に加入せず、国民健康保険を続けていたならば、仕事中の災害でも無条件で給付が行われていたことになります。
積極的に法律を遵守した事業主は保険が使えず、法律を無視して適用しない事業主は保険が使える、という矛盾が発生します。

そこで、厚生労働省は平成15年7月1日に通達を出しました。
法人の代表者等に対する健康保険の適用について

「被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とすること。」

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