転勤辞令は拒否できる?
会社勤めをしていると転勤はつきものですが、転勤辞令には従わなければならないのでしょうか?
独身時代は簡単に転勤できても、家庭を持ち年齢が上がるに従って転勤が難しくなるケースが出てきます。
司法の判断は以下の通りです。
【最高裁判例】
1.労働協約や就業規則に業務上の都合で転勤を命じる規定がある。
2.社員の転勤が頻繁に行われている。
3.採用時に勤務地を限定する合意がない。
の3条件を満たせば、本人の同意なしで転勤を命じることができる。
会社は定年まで雇用を維持する代わりに、その間どこで勤務させるかは会社の権限のうち。業務上必要な転勤は応じるのが原則。しかし、会社の権利濫用(以下参照)とみなされて無効となるケースもあります。
【無効の仮処分命令(神戸地裁姫路支部)】
妻が精神疾患で通院し、同居する母親が高齢、子供が受験という状況での転勤命令は著しい不利益を負わせるとして無効としました。
●弁護士の安西先生は、著書「採用から退職までの法律知識」の中で、会社の権利濫用とみなされ転勤が無効となるケースを示しています。
1.業務上の必要がない
2.労働条件が著しく低下する
3.職種・勤務地について合理的な予想範囲を著しく超える
4.不当労働行為に該当する
5.思想・信条の差別待遇にあたるもの
6.私生活に著しい不利益を生じる
単身赴任を避けたいというだけでは拒否は認められませんが、家族の看護や介護の必要性が重度の場合は認められるかもしれません。
【おまけ】
最近では、「職種別採用」や「コース別採用」を実施する企業が増えていますが、そうした中、「勤務地限定採用」を実施している企業も数多くあります。
例えば、「一般職」といわれる職種のほとんどは勤務地限定です。こうした採用を行なっている企業では「転居を伴なう異動がない」ケースがほとんどです。
つまり、採用地域でずっと仕事を続けていけることを意味しています。
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