従業員兼務役員の解雇
従業員兼務役員をやめさせる場合、取締役解任のための手続と従業員解雇のための手続の双方をとる必要があります。
従業員兼務役員の地位は取締役としての地位と従業員としての地位との二面性がありますので、区別して考えることが必要なのです。
取締役は会社との委任関係にあり、株主総会の決議によって選任され、就任の承諾をすることで取締役となっています。
従って、会社との信頼関係が無くなれば、株主総会の決議によって解任することができます。
これには要件があって「発行済み株式総数の過半数の株式を有する株主の出席」と「出席株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要です。
しかし、正当な理由が無く解任をされた取締役は、損害賠償を請求できることが認められています。
これだけでは従業員兼務役員を辞めさせたことにはなりません。すなわち、この方の取締役たる地位はなくなっても、なお従業員たる地位が残っているからです。会社と従業員との関係は、法律上雇用関係にあり、従って、この方を辞めさせるには、さらに通常の従業員と同様に解雇手続が必要となります。
労働者としての従業員の解雇には、労働法規に従ってなされることが必要不可欠で、大まかに言えば、この方に社会通念上、解雇されてもやむを得ないような重大な理由がなければ解雇は認められません。使用者側の解雇権の濫用を許さないというものです(解雇法理)。
前提として会社の就業規則上の解雇事由にもよりますが、軽度のミスくらいでは解雇は認められないでしょうね。
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